主宰へのインタビュー
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陶芸専門誌の取材より抜粋 |
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Q:彩泥とはどのようなものですか?
粘土と釉薬の中間のようなもの。顔料を入れた泥を作り、紋様を描き器胎に流し掛けすることにより、その景色を展開していく、私独自の技法です。
Q:泥を動かして紋様を描くということですか?
そうです。もう少し言いますと、元来やきものは火をいかに操るか、走らせる炎の痕跡を紋様として付けるかという芸術だとも言えます。私の彩泥の場合、いかに泥を走らせ、描いた模様で狙った景色を創り出すか(いかに泥を操るか)というところだと思います。以前の取材で、「TAIKI」の工芸評論家の笹山央さんが下記のように執筆されておりました。
(この人の作品から受けた第一印象は、物質的なものが空間の中に溶け込んでいくような、存在者が溶解していくようなイメージである。白、青、黄土の泥漿がマーブル模様をなして黒い器胎を包んでいるのだが、泥漿の流れ方に速度があり、そこに発生する時間感覚がある種の幻想を喚起する。 |
| 作者は極光(オーロラ)のイメージだという。なるほど太陽と地球の間で演じられる磁気現象の宇宙的アトラクションとみても充分に魅力的だが、そう聞いて筆者は、やはり泥漿のコロイドレベルの粒子の動きと、地球を取り巻く電子の動きとが重なってイメージされる。時々刻々と変化していく虚空の幻想美は、粒子へと分解していく存在の刹那の美でもある。そして粒子は振動するメディアであり、粒子間の共振関係が物質と精神の交換現象を引き起こして、美的感動が伝達されるのである。この模様は、手法的には泥漿の流し掛けによるものであるが、泥漿(作者は彩泥と呼んでいる)の物質的特性を見極めた一瞬の手際といったものが要請される。つまり模様としての成否は、作者の精神リズムと彩泥との交換の質にかかっているのである。(TAIKI:何故か元気な千葉の陶芸より) |
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Q:彩泥の一方で“二十四節器”というシリーズの器を発表されていますが、これらはどのようなテーマで制作されたのですか?
日本には二十四にも及ぶ独自の季節があります。もとは中国が発祥の節気ですが、日本に伝わり独自の進化を遂げました。どの節気も日本の風土に馴染み、実に美しい名前と季節感に溢れています。この美しい節気を印象付けるモチーフを器の中に込めて創作してみたくなったんです。また、当時やきものTVというインターネットTV番組(動画コンテンツを配信するWebサイト)を制作しており、たまたま陶遊(新企画出版)さんから連載の話もあったので、どなたでも実践できる豊富な装飾技法を織り込んでプロデゥースしてみよう!という話になり、ハウツー物として出版物と動画コンテンツと併せて制作・公開した次第です。
Q:24もの制作技法を動画で、しかも無料で公開したのですか?
はい、私はやきもの作りの楽しさを伝えるのが自分の仕事だと思っていますから、作り方を隠したり、自分の作った器を販売したりしません。一人でも多くの方に自分で作る事の素晴らしさ、楽しさを実践してもらいたいと考えています。ですから陶遊さんにもハウツーで掲載してもらいましたし、やきものTVでも該当期間中は無料で公開しています。 |
立春
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雨水
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啓蟄
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春分
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清明
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穀雨
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立夏
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小満
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芒種
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夏至
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小暑
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大暑
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立秋
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処暑
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白露
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秋分
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寒露
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霜降
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立冬
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小雪
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大雪
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冬至
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小寒
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大寒
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Q:陶芸家は作品を売るのが普通ですが“作品を売らない”というモットーの理由をもう少し詳しく教えてください。
深い理由はありません。自分で作るのが一番楽しいという信念があるからです。やきものの楽しさ、その世界の素晴らしさは、見たり買ったりというよりも自分で作る事、出来上がるまでに積み重ねた時間、これらに価値があると思っています。作品を売ってほしいという訪問者には「買うより自分で作ったほうが楽しいよ、作り方を教えるから自分で作ってみて」と話します。また、彩泥窯の生徒は自由闊達としたモノ作りの活気に溢れています。このことは私が作品を販売しないという姿勢からも少なからぬ影響を与えていると思います。生徒はいつも私の姿勢を見ています。私が器に値段を付け始めると、生徒も自分たちの作品に値段をつけ始めると思います。そして、上手くいった方法やコツを秘密にし、他の生徒に教えなくなります。実に嫌な雰囲気ですね。前述の通り、やきものは自分で作る事に一番価値があると考えています。その楽しさ、その世界の素晴らしさを生徒や、やきものファンの人達に伝えるためには、自身の作品は売ってはならないという信念を持っています。そのようなこだわりは自由闊達和気あいあいとした彩泥窯の雰囲気を育む大きなエッセンスだと信じています。 |
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Q:異色の経歴ですが、何故“陶芸”を選んだのですか?
学生の頃はボート競技に打ち込んでいました。家の前の川で練習する高校生の姿がなんともカッコよく憧れたのがきっかけでした。以来、大学も運動で進学し体育会ボート部で活躍しました。時はバブル経済が始まった頃で、希望の企業へも苦労なく入り、営業職を任されました。負けず嫌いの性格から、人に負けるのが嫌で、いつもセールスコンテストでは優勝するほど仕事をしていました。そんな中、陶芸を始めたのは地方営業所への転勤がきっかけでした。それまでの華やかな環境、騒がしい時間とは真逆のところに行ったので、せっかくだから喧騒を離れた時間を持とう考えて、たまたま始めたのが陶芸でした。すぐに夢中になり、日用品からオブジェまで色々なものを作り、2年半もすると世界公募展など、様々なコンクールに出品していました。また、その頃には本社に呼び戻されて広告の仕事をすることになり、数年後には全社的なプロジェクトメンバーに入り、やりがいのある仕事をさせてもらっていました。その間もずっとコンクールへの出品活動は継続していましたが、徐々に土と向き合う時間のほうに大きな魅力を感じるようになり、一度きりの人生やりたいと思うことに全力でチャレンジしてみたいと、36歳で陶芸家への転身を決めました。最初のころは自分が陶芸を選んだように思っていましたが、最近は陶芸が自分を選んでくれたのだと思うようにしています。 |
Q:彩泥窯は専門誌でも優れた陶芸教室に挙げられるなど、世間の陶芸教室と比べて、明らかに異質というか“独自の存在感”がありますが、どういったところが違うとお考えですか?
何も特別な事はしていませんが、ごく当たり前のことを徹底してやっています。私達の仕事は“やきもの作りの楽しさ、その世界の素晴らしさ”を伝え広げる事で、そこから全くブレず、その為にいいと思うことを徹底的にやっています。まず第一にあげられるのはユーザーフレンドリー性でしょう。駅に近く毎日開校は云うまでもありません。60種類を超える釉薬・13種類を超える粘土、豊富な顔料、これらの材料が常にきちんと調整(濃度/硬度)され、すべて自由に使えます。また、窯焚きはほぼ毎日実施し施釉の結果がすぐに見られるようにしています。予約もいらず自由な時間に来ていつでも個別指導が受けられる設備と体制、また、240を超える綿密に編成されたカリキュラムは全てビデオ化され、動画という圧倒的な情報量や解りやすさで工房は勿論、インターネットを経由し生徒の自宅・携帯まで届きます。また、生徒のモチベーションやスタイルに合わせてコース分け(彩冶/彩萌/彩芽…)し、インディビジュアルに最適化したやきもの作りを個別に指導できる環境を実現しています。次に挙げられるのがこれら複雑な要素の運営を支えるシステマティック性です。リソース毎にレベル分けした業務分担体制や情報共有の仕組みにより、高い次元での設備・材料・システムのメンテナンスが可能になっています。これらは様々な経験則を標準化することにより、独自のシステムとして構築されています。ここまで来るには、試行錯誤の繰り返しと今日よりも明日は必ずいい工房にしようという徹底した取り組みがありました。また、わくわく楽しく一年を通して技術向上していけるための工夫も徹底しています。ベーシックな技術知識は勿論、季節の祭事やイベント、器と料理の響き合い、日本の伝統文化に準えて様々な視点からの器作り、百花繚乱の装飾技法、これら7つの彩泥窯メソッドを効果的に組み合わせて着実に実践しています。どれも一つ一つを見れば誰もが出来ることですが、誰も真似できないくらい徹底して取り組めばそれは“特別な事”に変わるのかもしれません。また、変えられるよう努力しなければならないと考えています。 |
Q:今後の抱負について教えてください。
まず陶芸家としては独自の彩泥にガラス質を加えるなど、新しい試みを広げていきたいと考えています。また、これまで創作してきた連作、二十四節器もブラッシュアップしたものを創作したいと思います。次に指導者としてですが、本気でやきもの作りを学びたいという人を対象にした、現代陶芸のスペシャリスト養成コース(全4年)を開講し、高いモチベーションを有する人への指導にも取り組んでいきたいと思います。最後に彩泥窯の主宰者としてですが、日本経済の不透明感が拭えない中、首都圏の陶芸教室も厳しい経営を余儀なくされています。多くの教室が閉鎖や廃業に追い込まれる中、彩泥窯は近隣から遠方まで、多くの方々に通って来て頂きました。陶芸を愛する人たちがいつでも、いつまでも土にふれられる場として、この工房を健全に維持発展させていきたいと思います。 |
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